菖蒲湯の匂いから気づいた、安心感の作り方

hanayoko01

お部屋に入って最初の数分で、お客様の眠りやすさはほとんど決まると感じています。

これは、添い寝のお仕事を続ける中で身体で覚えてきたことです。

こどもの日が近づくと、銭湯やスーパー銭湯で菖蒲湯が始まりますね。

休日に近所の銭湯に立ち寄ったところ、湯船に菖蒲の葉が浮かんでいて、独特の青い香りが脱衣所まで漂ってきていました。

あの匂いを嗅いだ瞬間、不思議と肩の力が抜けたんです。

祖母の家で入った菖蒲湯の記憶が、身体のどこかに残っていたのだと思います。

それで気づいたことがあります。 お客様が部屋に入って安心されるかどうかは、視覚よりも嗅覚で先に決まっているのではないかということです。

当店ではホテル派遣の場合、シティホテルとビジネスホテルとラブホテルでお部屋の匂いがそれぞれ違います。

シティホテルはほぼ無臭、ビジネスホテルは清掃用洗剤の匂いがやや強く、ラブホテルは芳香剤が強めです。

お部屋に入ってすぐ、私は窓を開けるかどうか、空調を強めるかどうかを判断しています。

匂いが強すぎるお部屋では、自分の香水もつけません。

これは決まった手順ではなく、その日のお客様の表情を見て決めています。

鼻にしわを寄せる方、深呼吸をする方、無表情の方、それぞれに合わせて空気そのものを調整するのが、最初の数分の仕事です。

菖蒲の匂いで肩が緩んだあの感覚を、お客様にもお部屋で感じていただきたい。

派手な香水で印象づけるよりも、その方の身体が覚えている懐かしい何かを邪魔しない空気の方が、結果として深く眠っていただける。

こどもの日の銭湯がそれを教えてくれました。

基本サービスである添い寝の時間を選んでくださるお客様には、性的な接触を含まない時間そのものに価値があります。

その価値は、肌が触れる前の、お部屋の空気の段階からすでに始まっているのだと思っています。

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